第7章:発送・国際配送

発送・国際配送実務

リチウム電池の発送手順 — デジタルカメラを送る

IATA PI967 対応の必須書類とラベル — キャリア別の対応一覧

📍 前レッスンとのつながり

梱包の基本を学んだので、本レッスンでは 「リチウム電池入りのデジタルカメラ・電子機器を国際配送する手順」を扱います。航空輸送におけるリチウム電池は IATA(国際航空運送協会)が厳格に規制しており、規定違反 = 荷物の差し戻し or 没収。複雑に見えますが、デジカメで実際に必要なのは数項目だけ。

⚠️ 規制は数年単位で変動

📦 当塾の推奨配送:eBay SpeedPAK DHL

中古カメラ・レンズ・腕時計の海外発送は eBay SpeedPAK DHL を当塾の標準推奨としています。理由は (1) eBay 公式連携で関税前納(DDP)が自動化、(2) DHL の追跡精度・配送品質が安定、(3) 高額品(AG 対象を含む)でも保険・補償が組み込まれている、の 3 点。本レッスンに登場する FedEx・EMS・日本郵便等の他社サービスは比較対象として理解しつつ、第一選択は SpeedPAK DHL でトラブルを激減できます。詳細は第9章「梱包・配送・DDP 実務」参照。

IATA リチウム電池規定は 2024〜2026 年で複数回更新されており、本レッスンは 2026 年 5 月時点のサマリです。実際に発送する前に、必ず キャリアの最新規定(FedEx / DHL / SpeedPAK の公式ページ)を確認してください。塾内でも変更時はチャットワークで告知します。

📋 1. リチウム電池の輸送区分

IATA 区分 対象 中古カメラの該当例
PI967(Section II) 機器に内蔵されたリチウムイオン電池 デジカメ本体に電池装着済(最も多い)
PI966(Section II) 機器とパッケージに 同梱されたリチウムイオン電池 デジカメ+予備バッテリーを別箱に同梱
PI965(Section II) 機器なしのリチウムイオン電池 単体 バッテリー単独販売(多くのキャリアが拒否)
💡 中古デジカメ販売の主流

デジカメ本体にバッテリーを装着して送るのが PI967(最も簡単)。予備バッテリーを箱に同梱すると PI966に区分が変わって書類が増えます。初級者は予備バッテリー同梱を避けて、本体内蔵のみで送るのが事故防止。

📝 2. PI967(本体内蔵)の必須対応

# 対応事項 具体
1 送り状に記載 Lithium-ion batteries in equipment, in compliance with PI967 Section II” の文言を商品説明欄に追加
2 電池マークラベル貼付 外箱に 「Lithium Battery Mark」(赤枠白地に電池記号、UN 番号 UN3481 と緊急電話番号記載)を貼る
3 電池の状態 本体に装着、電源 OFF。誤動作で発熱しないようカメラの電源スイッチをロック
4 梱包 本体を緩衝材で包んで衝撃から保護(梱包の章参照)
💡 Lithium Battery Mark のラベル

電池マークラベル(UN3481 / Lithium Battery Mark)は 9cm × 11cm 以上のサイズで、A4 シール用紙に印刷して貼り付けるのが標準。塾内でテンプレ PDF を共有しているので、チャットワークの〇〇 × TWD で「リチウム電池ラベルください」と聞いてください。または FedEx・DHL の公式サイトでもダウンロード可能。

🚚 3. キャリア別の対応一覧

配送方法 PI967(内蔵) PI966(同梱) 注意
SpeedPAK Ship via DHL/FedEx ○ 対応 ○ 対応 CPaSS で電池有無のチェックボックス
SpeedPAK Economy △ 一部対応 ✕ 不可 サービス制限多い、Ship via 推奨
DHL eXpress(個別契約・eLogi) 送り状に文言記載+ラベル貼付必須
FedEx International Priority DESC 欄に PI967 文言追加
EMS(日本郵便) △ 国別制限あり 税関告知書「電池有」記入
航空便書留(小型包装物) ✕ 単体電池不可 機器内蔵のみ条件付き可

📋 4. SpeedPAK / FedEx の具体手順

⚠️ FedEx でリチウム電池入りカメラを発送する場合の必須対応
当塾では eBay SpeedPAK DHL を標準推奨していますが、案件によって FedEx を利用してデジカメ・ミラーレス等のリチウム電池入り商品を発送する場合は、以下を必ず行ってください。

📎 UN3481 ラベル(リチウムイオン電池)
UN3481 ラベル PDF(PI967:機器に同梱・本体内蔵リチウムイオン電池)を、発送伝票(Air Waybill)と一緒に発送業者にアップロードしてください。これがないと FedEx の取扱拠点で 差し戻しになります。

📄 UN3481 ラベル PDF(Google Drive) ▶️ PDF を開く

実務手順:①ラベルPDFを印刷 → ②外箱の見やすい位置に貼付 → ③FedEx Ship Manager / 発送業者のアップロード画面で「貨物書類」として PDF を添付 → ④Air Waybill 備考欄に「UN3481 / PI967 / Section II」と記載。
※ SpeedPAK DHL を使う場合は eBay 公式連携で自動処理されるため、別途ラベルのアップロードは不要です。

STEP 作業
1 SpeedPAK の CPaSS(または FedEx 送り状作成画面)で 「リチウム電池含有」のチェックボックスを ON
2 商品説明(DESC 欄)に "Lithium-ion batteries in equipment, in compliance with PI967 Section II" を追記。手書きでも OK
3 配送ラベルを印刷して箱に貼付
4 Lithium Battery Mark(電池マークラベル)を外箱の見えやすい場所に貼付(A4 シールに印刷可)
5 集荷依頼。配送業者から「リチウム電池含有」の確認があれば「PI967」と回答
💡 委託発送の場合

撮影+発送代行業者を使う場合、業者側で リチウム電池対応のラベル貼付+送り状記載を行ってくれることが多い。発送指示時に「リチウム電池入り(デジタルカメラ)」と明記。代行業者がリチウム電池対応していない場合もあるので、初回は事前確認必須。

⚠️ 5. やってはいけない発送

NG リスク
リチウム電池含有を申告せずに発送 税関で発見 → 荷物差し戻し or 没収
リチウム電池単体(PI965)を航空便で送る 多くのキャリアが拒否
破損・膨張した電池を装着して送る 発火・爆発リスクで 絶対禁止
電池マークラベル未貼付 差し戻しの可能性
複数の予備バッテリーを大量同梱 PI966 のセル数制限超過で輸送不可
⚠️ 膨張電池は絶対に送らない

中古デジカメで バッテリーが膨らんでいる個体は意外と多い(特に古いモデル)。膨張バッテリーは 発火・爆発リスクが極めて高く、万が一輸送中に発火した場合、航空機の損傷、人命被害、さらに セラーの民事・刑事責任に問われる可能性。発見したら 絶対に装着せず、新品互換バッテリーに交換するか、本体のみ電池なしで送ってバイヤーに別途調達してもらう。

🔋 6. 中古デジカメ販売の運用フロー

仕入れ時のチェック

  1. バッテリーの状態確認(膨張・液漏れ・端子腐食)
  2. 充電して動作確認、フル充電可能か
  3. 純正 / 互換の判別(出品文に明記)
出品文に書く情報

"This camera ships with the original / compatible battery
installed in the body (PI967 compliant). The shipping carrier
requires battery declaration, which is handled by the seller.
You will receive the camera ready to use after charging."

🏆 7. カテゴリ特有 Q&A

Q1. PI966 と PI967 の違いがよく分かりません

PI967 = 機器に電池が「内蔵」されている状態(デジカメ本体に装着済)。PI966 = 機器と電池が「同梱」されている状態(本体と予備電池が同じ箱)。中古デジカメで予備バッテリーを付ける場合は PI966 になり書類が増えるので、本体内蔵 1 個のみで送る(PI967)のが楽。予備バッテリーは「ほしければ別途購入」とバイヤーに案内。

Q2. 電池マークラベルはどこで入手?

3 つの方法:(1) FedEx / DHL の公式サイトから PDF ダウンロード → A4 シール用紙に印刷、(2) 塾のチャットワークで共有テンプレを依頼、(3) Amazon・楽天で「リチウム電池 ラベル UN3481」で検索。サイズは 9cm × 11cm 以上必須。1 ロール(数十枚)¥1,000〜¥2,000 で買えるので、月 10 件以上発送するならまとめ買いが楽。

Q3. 互換バッテリーを装着して送るのは大丈夫?

大丈夫ですが、出品文に「Compatible battery (third-party) installed」と必ず明記。「Original battery」と書いて互換品を送ると SNAD クレーム直結。互換バッテリーの方が 純正より発火リスクが高いので、信頼できるブランド(ROWA Japan、JJC、NP-FW50 系の有名互換等)を選び、膨張・液漏れがないかは入念に確認

Q4. フィルムカメラに必要な水銀電池(PX625 等)も同じ規制?

水銀電池は別の規制(Mercury battery)。リチウムイオン電池より制限が緩く、PI966/967 の対象外。ただし水銀電池は 製造中止で、現在は SR44 + 互換アダプタで代用が一般的。出品時は「Camera takes PX625 mercury battery (no longer manufactured). Compatible: SR44 + adapter included / sold separately」と本文に書いて、互換アダプタを同梱するか購入元の案内をすると親切。

Q5. 米国向け以外(EU・オーストラリア)も同じ手順?

基本同じです。IATA 規定は 国際航空輸送の共通ルールで、世界中の主要航空便に適用。EU は MSDS(Material Safety Data Sheet)の要求がやや厳しい場合がありますが、PI967 ラベル+送り状記載で対応可。キャリア(SpeedPAK / DHL / FedEx)の指示に従うのが確実。

Q6. リチウム電池入りデジカメを SpeedPAK Economy で送れる?

条件付きで可能ですが、Ship via DHL/FedEx 経由が無難。Economy はサービス制限が多く、リチウム電池含有荷物を断られる場合があります。デジカメは Ship via DHL/FedEx で送ると覚えておけば安全。料金は若干上がりますが、差し戻しリスクを考えると差額は許容範囲。

📎 関連レッスン

  • 本章「梱包の基本とカメラ特有の注意点」(前レッスン)
  • 本章「国際配送のトラブル対応」(次レッスン)
  • 本章「SpeedPAK DDP の仕組みと運用フロー」(CPaSS でのリチウム電池申告)

※ IATA 規定・キャリア要件は変動するため、必ず各社公式の最新情報を確認してください。本レッスンは 2026 年 5 月時点のサマリ。

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