発送・国際配送実務
送料設定とビジネスポリシー — Free Shipping vs 計算式の使い分け
DDP 必須化時代の価格戦略 — 送料を見せるか、商品価格に込めるか
第5章「ビジネスポリシー」で Shipping Policy のテンプレ作成方法を学びました。本レッスンは 「送料を Free にするか / Calculated にするか / Flat Rate にするか」の戦略選択を扱います。米国向け DDP 必須化で、関税分の上乗せが必要になったため、送料設定の戦略も少し変わっています。
📋 1. eBay の送料設定 3 種類
中古カメラ・レンズ・腕時計の海外発送は eBay SpeedPAK DHL を当塾の標準推奨としています。理由は (1) eBay 公式連携で関税前納(DDP)が自動化、(2) DHL の追跡精度・配送品質が安定、(3) 高額品(AG 対象を含む)でも保険・補償が組み込まれている、の 3 点。本レッスンに登場する FedEx・EMS・日本郵便等の他社サービスは比較対象として理解しつつ、第一選択は SpeedPAK DHL でトラブルを激減できます。詳細は第9章「梱包・配送・DDP 実務」参照。
Calculated Shipping のキャリア選択肢に USPS(米国郵便)が出ますが、これは米国セラー専用で日本セラーは使えません。日本セラーが選べるのは SpeedPAK / DHL / FedEx / 日本郵便(EMS)/ ヤマト運輸等。
🎯 2. Free Shipping 戦略(中古カメラの主流)
送料を商品価格に込めて表示する方法。eBay の Best Match アルゴリズムで 露出が優遇される傾向と、バイヤーの心理的フレーミング効果(送料無料 = 割安感)から、中古カメラ系の主力戦略になっています。
商品の DDP 売価 = 元の商品価格 + 国際送料(SpeedPAK) + 関税(米国向け 10% 等) + DDP 手数料($3〜$5) 例:Canon AE-1 を米国に 元の商品価格: $200 SpeedPAK 送料: $25 関税(10%): $20 DDP 手数料: $4 ───────── Free Shipping 表示価格: $249(推奨 $250)
Free Shipping だからといって 「Buyer pays return shipping」を選べないわけではありません。第5章 3954 で扱った通り、Free Shipping + Buyer pays returnの組み合わせは可能。バイヤー都合の返品(気が変わった等)は送料バイヤー負担、SNAD クレームの場合は eBay の MBG ルールでセラー負担、と使い分けられます。
📦 3. Flat Rate(定額送料)戦略
送料を固定額で見せる方式。中古カメラ本体には向きませんが、アクセサリー(フィルター・キャップ・ストラップ)のロット出品で有効。
Flat Rate は地域別に変えられます。例:米国 $12 / 欧州 $18 / アジア $10 / その他 $25。配送料金は距離で大きく変わるので、過去の発送実績の平均+10〜15% のマージンで設定。
⚖️ 4. Calculated Shipping(計算式送料)
eBay が パッケージの重量・寸法・バイヤー住所から自動計算する方式。中判カメラ・大判カメラ・サンニッパなど 容積重量で送料が大きく変わる商品に向きます。
商品単体のサイズで入力すると、容積重量計算(縦×横×高さ÷5000)が小さくなり、セラーが負担する実送料との差額が損失に。第3章「大判カメラ」「望遠レンズ」レッスンの容積重量計算と同じ式が適用されるので、必ず 緩衝材+外箱込みのサイズを実測してください。
🌍 5. 地域別の送料設定戦略
米国向け(DDP 必須)と他地域(DDU 可)で戦略が分岐します。
🚫 6. 配送除外国(Excluded Locations)
Shipping Policy 編集画面の 「Excluded shipping locations」セクションでチェックボックスから除外国を選択。eBay 公式の Restricted countries リストに基づいた制裁国は最初から除外、残りはセラー判断で。
📝 7. 中古カメラセラーの推奨 Shipping Policy 構成
🏆 8. カテゴリ特有 Q&A
第5章「ビジネスポリシー」で扱った通り、Return Policy で「Buyer pays return shipping」を選べるので、Free Shipping でもバイヤー都合の返品送料はバイヤー負担にできます。SNAD(説明と著しく異なる)の場合は eBay の MBG で送料セラー負担になりますが、これは Free Shipping でも Calculated でも同じ。「Free Shipping = 返品送料セラー負担」と書く情報源は古い解釈です。
USPS は米国国内郵便で 米国セラー専用。日本セラーは選択しても発送できません。日本セラーは SpeedPAK / DHL eXpress / FedEx International / 日本郵便(EMS)/ ヤマト運輸を選んでください。米国向け DDP 必須化対応なら SpeedPAK 一択。
eBay 公式は「Free Shipping は検索結果で優遇傾向」と明言しています。実測ベースでは 同一カテゴリで送料あり vs Free を比較すると、Free の方が CTR が 1.2〜1.4 倍程度高い傾向。ただし価格は同じ条件(送料込み総額)に揃えての比較が前提で、「Free だから」だけでは順位は決まりません。
第3章「大判カメラ」「望遠レンズ」レッスンで扱った 梱包後の縦×横×高さを実測。Hasselblad 500CM の場合、内箱 30×25×20cm、外箱 40×35×25cm 程度になり、容積重量は 7〜10kg。これを Calculated Shipping の Length / Width / Height に入力。実重量も 緩衝材込みで 4〜5kg程度を入力。eBay が SpeedPAK の料金を自動計算します。
必須ではないですが、カナダ・オーストラリア・EU の高額品($500 以上)は DDP 推奨。バイヤー満足度が高く、リピート率も上がる傾向。低額品($100〜$200)は DDU でも問題が少ないので、価格競争力を優先するなら DDU。米国以外は 「商品単価×バイヤー満足度のトレードオフ」で決めてください。
短期的には Best Match スコアが一時リセットされて順位が一時的に下がる可能性。ただし長期的には商品の魅力(タイトル・写真・コンディション・価格)が決定要因なので、1〜2 週間で元の水準に戻ります。大型・重量物のみ Calculated に変える、軽量品は Free のまま、というハイブリッド運用が現実的。
📎 関連レッスン
- 本章「梱包の基本とカメラ特有の注意点」(次レッスン)
- 第5章「ビジネスポリシー — 出品前の必須設定」(Shipping Policy 作成手順)
- 第3章「大判カメラ」「望遠レンズ」(容積重量計算の詳細)
※ 送料設定の詳細は eBay 公式 Help / Seller Center で最新を確認してください。本レッスンは 2026 年 5 月時点。