Module 2:リターンリクエストの種類と対応フロー
リターン理由の分類と、状況に応じた最適な対応判断の手順
1リターン理由の3大分類
eBayでバイヤーがリターンリクエストを開く際、理由を選択する必要があります。この理由によってセラーの責任範囲と対応オプションが大きく異なります。大きく分けて3つのカテゴリに分類されます。
① Buyer’s Remorse(バイヤーの自己都合)
バイヤーの気が変わった、他で安く見つけた、思っていたのと違う(ただし商品説明は正確な場合)などの理由です。
eBayでは以下の理由が「Buyer’s Remorse」に分類されます:
• Changed my mind(気が変わった)
• Found a better price(もっと安いのを見つけた)
• Just didn’t like it(気に入らなかった)
• Ordered by mistake(間違えて注文した)
ポイント:No Returns設定なら拒否可能。Free Return設定なら自動承認されるが、Restocking Fee(最大50%)を差し引ける。Defectは付かない。
② INAD(Item Not As Described=商品説明と異なる)
バイヤーが「商品が説明と異なる」と主張するケースです。中古カメラ販売で最もよく発生し、最も対応が難しい種類です。
eBayでは以下の理由がINADに分類されます:
• Doesn’t match description or photos(説明や写真と一致しない)
• Wrong item sent(間違った商品が届いた)
• Missing parts or accessories(部品やアクセサリーが欠品)
• Defective / Doesn’t work(不良品/動作しない)
• Damaged during shipping(配送中に損傷)
ポイント:No Returns設定でも必ず対応が必要。返品送料はセラー負担。対応しないとDefectが付く。
③ Item Not Received(商品未着)
厳密には「リターン」ではなく「ケース」として扱われますが、返金に関わる重要な問題です。
ポイント:追跡番号(Tracking Number)で配達証明ができれば、セラーが保護されます。署名確認(Signature Confirmation)は$750以上の商品で必須です。
リターン理由の比較一覧
| 項目 | Buyer’s Remorse | INAD | Item Not Received |
|---|---|---|---|
| No Returnsでの拒否 | 可能 | 不可 | N/A(ケース対応) |
| 返品送料の負担 | ポリシーに従う | セラー負担 | N/A |
| Restocking Fee | Free Return時、最大50% | 適用不可 | N/A |
| Defectの影響 | なし | 対応遅れでDefect | 追跡なしで敗訴→Defect |
| セラーの対応期限 | 3営業日 | 3営業日 | 3営業日 |
2リターンリクエスト受領後の対応フロー
リターンリクエストが届いたら、慌てず以下のステップで対応します。まず理由を確認し、適切な対応を選択することが重要です。
Step 1:リターン理由を確認する
Seller Hub → Orders → Returns で開いたリターンリクエストの詳細を確認します。バイヤーが選択した理由カテゴリ、バイヤーが記載したコメント、添付写真の有無をチェックします。
• 理由は「Buyer’s Remorse」系か「INAD」系か?
• バイヤーのコメントは具体的か?写真はあるか?
• 自分の出品説明と照らし合わせて、バイヤーの主張は妥当か?
• そのバイヤーの過去のフィードバック・返品履歴に問題はないか?
Step 2:対応方法を選択する
リターン理由の確認後、以下の対応オプションから選択します。
| 対応オプション | 内容 | 適している状況 |
|---|---|---|
| Accept Return | リターンを承認し、返品ラベルを発行 | 明らかにセラー側に非がある場合 |
| Offer Partial Refund | 商品を返送せずに部分返金を提案 | 軽微な問題で双方に妥協の余地がある場合 |
| Send Message | バイヤーにメッセージを送って詳細確認 | 情報不足で判断できない場合 |
| Decline Return | リターンを拒否(Buyer’s Remorseの場合のみ) | No Returns設定でBuyer’s Remorseの場合 |
Step 3:対応判断フローチャート
📋 リターンリクエスト受領
↓ 理由を確認
【Buyer’s Remorseの場合】
→ No Returns設定 → Decline Return
→ Free Returns設定 → 自動承認済 → Restocking Fee適用で返金
→ Buyer Pays設定 → Accept Return(送料はバイヤー負担)
【INADの場合】
→ バイヤーの主張が妥当 → Accept Return or Partial Refund
→ 主張が不明確 → Send Message(写真・詳細を依頼)
→ 主張が不当 → Accept Return → 返品後にeBayにAppeal
3中古カメラでよくあるリターン理由と対応例
中古カメラ・レンズの販売では、特定のパターンでリターンリクエストが発生します。よくある事例と推奨対応を把握しておくことで、迅速かつ適切に対応できます。
事例1:「レンズにカビがある」(INAD)
出品時に「光学きれい」と記載したレンズについて、バイヤーが「カビがある」と主張。バイヤーが写真を添付してきた。
推奨対応:まず写真を確認。微小なカビやチリを見落としていた可能性を検討。出品時の写真と照合する。
→ 自分の見落としだった場合:Accept Return + 謝罪メッセージ
→ 出品時には確認できないレベルの微小なもの:Partial Refundを提案(10〜20%程度)
→ バイヤーの誤認(チリやホコリをカビと勘違い):丁寧に説明し、写真で違いを示す
事例2:「シャッターカウントが説明と違う」(INAD)
シャッターカウント10,000と記載したが、バイヤーが確認したら25,000だったと主張。
推奨対応:シャッターカウントの確認方法によって数値が異なる場合がある(EXIF vs メーカーツール)。まず確認方法を尋ね、自分の計測方法と比較。
→ 明らかにこちらの計測ミス:Accept Return
→ 計測方法の違い:丁寧に説明し、Partial Refundを検討
事例3:「思っていたより状態が悪い」(Buyer’s Remorse or INAD)
バイヤーの期待と実際のコンディションにギャップがある場合。理由として「Doesn’t match description」(INAD)を選ばれると、セラーの負担が大きくなります。
推奨対応:出品説明と写真が十分に詳細だったか確認。
→ 説明が曖昧だった場合:素直にAccept Return。今後の改善につなげる
→ 説明が十分で写真も明確だった場合:バイヤーにメッセージで確認。必要に応じてPartial Refundで解決
事例4:「AF(オートフォーカス)が正常に動作しない」(INAD)
「Fully functional」と記載したカメラのAFが動かないとバイヤーが主張。動作確認済みでも輸送中の衝撃や個体差で発生する可能性があります。
推奨対応:
→ まずバイヤーにレンズの装着が正しいか、AF/MFスイッチの確認を依頼
→ それでも改善しない場合:Accept Returnが無難
→ 高額商品の場合:バイヤーに動画での確認を依頼し、証拠を保全した上で判断
4バイヤーへのメッセージ対応の基本原則
リターンリクエストへの対応では、バイヤーとのコミュニケーションが結果を大きく左右します。以下の原則を守って対応しましょう。
① 迅速に対応する:リクエスト受領後24時間以内に最初のメッセージを送る。3営業日の期限を絶対に超えない。
② 感情的にならない:バイヤーの主張が不当に思えても、冷静かつプロフェッショナルに対応。攻撃的な表現は絶対にNG。
③ 共感を示す:「ご不便をおかけして申し訳ありません」「ご満足いただけなかったことを残念に思います」など、まず共感を表明。
④ 解決策を提示する:問題の指摘だけでなく、必ず具体的な解決案を提示する。「部分返金」「返品」「使い方のアドバイス」など。
⑤ 記録を残す:全てのやり取りはeBayのメッセージシステム内で行う。eBay外(メール、SNS等)でのやり取りはエスカレーション時に証拠として認められない。
❌ バイヤーを嘘つき扱いする
❌ eBayの外での返金を提案する(PayPal直接送金など)
❌ リターンを無視して放置する(3日で自動エスカレーション)
❌ ネガティブフィードバックを恐れて不当な要求に全て応じる
❌ バイヤーに「フィードバックを変更してくれたら返金する」と提案する(フィードバック操作はeBay規約違反)
✅ リターン理由は大きく3種類:Buyer’s Remorse / INAD / Item Not Received
✅ INADはNo Returns設定でも必ず対応が必要 — 最も注意すべきカテゴリ
✅ 3営業日以内の対応が必須 — 超過するとDefect+自動返金のリスク
✅ カメラ特有のリターン事例を把握し、パターン別の対応を準備しておく
✅ バイヤーとのコミュニケーションは冷静・プロフェッショナル・記録重視